昨年12月に、令和7年度税制改正の大綱が閣議決定されています。今回はこの中から、福祉施設の経営に関する主な項目を取り上げます。
福祉施設の経営に関連する主な税制改正案は、次のとおりです。
政府の補助を受けて新築された一定のサービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置並びに不動産取得税の課税標準の特例措置及び当該住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置について、その適用期限を2年延長する。
制度の概要
- 高齢者世帯の増加が今後も見込まれる中、高齢者向け住宅の整備、とりわけバリアフリー化された、サービス付き高齢者向け住宅の供給の促進策が必要。
- 現行の特例措置を2年間(2025年(令和7年)4月1日〜2027年(令和9年)3月31日)延長する。
(各特例措置の対象は、国からの建築費補助を受けていること等、一定の要件を満たすサービス付き高齢者向け住宅に限る。)



【特例措置の内容】
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物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応
基礎控除の引き上げ(所得税のみ)、給与所得控除の最低保障額の引き上げ、特定親族特別控除(仮称)の創設などが行われる。これらに伴い、扶養親族等の合計所得金額要件などの引き上げも行われる。 -
中小企業者等の法人税率の特例の延長等
資本金1億円以下の一定の中小法人について適用される、年800万円以下の所得金額に対する法人税の軽減税率(15%)適用について、適用期限を2年間延長する。ただし、所得10億円を超える場合については軽減税率を17%(現行15%)とする。 -
設備投資減税の延長等
中小企業による防災・減災に向けた設備投資について適用されている特別償却(16%)の措置(中小企業防災・減災投資促進税制)、一定の中小企業者等が一定の設備投資を行った場合に、税額控除(7%)又は特別償却(30%)の適用を認める措置(中小企業投資促進税制)、一定の中小企業者等が一定の設備投資を行った場合に、税額控除(10%)又は即時償却(100%)の適用を認める措置(中小企業経営強化税制)について、一定の見直しの上、適用期限を2年間延長する。 -
企業年金・個人年金制度の見直しに伴う税制上の所要の措置
確定拠出年金法等の改正を前提に、企業型確定拠出年金(企業型DC)・個人型確定拠出年金(iDeCo)等の拠出限度額の引き上げやiDeCoの加入可能年齢の引き上げ等の見直しが行われた後も、現行の税制上の措置を適用する。
[参考]
財務省「令和7年度税制改正の大綱」
厚生労働省「令和7年度厚生労働省関係税制改正について」
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- 令和7年度税制改正の大綱 医療機関編2025/02/15
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