ここでは、今年6月に発表された調査結果(※)から、医療機関等における職員の能力開発への支援状況をみていきます。
上記調査結果から、医療機関等(以下、医療,福祉)のOFF−JT支援への費用の支出状況をまとめると、表1のとおりです。
医療,福祉では、49.6%がOFF−JTへの費用支出を行っています。総数(調査結果全体)と比べると0.4ポイント高くなりました。
次に、自己啓発支援への費用の支出状況をまとめると、表2のとおりです。
医療,福祉では支出したが25.9%で、4分の1程度となりました。総数と比べると同程度という状況です。
両方の費用支出状況は表3のとおりですが、両方支出していない割合が42.6%で、医療,福祉の6割弱がOFF−JTか自己啓発支援への費用支出をしていることがわかります。
OFF−JTや自己啓発支援への費用支出額について、労働者一人当たり平均額をみると、医療,福祉では、OFF−JT支援が5,000円(総数は15,000円)、自己啓発支援が2,000円(総数は3,000円)となりました。
能力開発支援の目的は、生産性やサービス等の向上であり、医療機関として必要とする能力の開発を職員に行ってもらう必要があります。同調査によると、医療,福祉の企業が職員に求める能力の上位項目は「チームワーク、協調性・周囲との協働力」「職種に特有の実践的スキル」「コミュニケーション能力・説得力」などとなっています。
競合の激化や人件費などの高騰により、厳しい状況の医療機関もあります。職員の能力開発が進めば、生産性や収益、サービスの向上に寄与するでしょう。自院の可能な範囲で、能力向上への支援ができると好ましいでしょう。
(※)厚生労働省「令和5年度能力開発基本調査」
全国の30人以上の常用労働者を雇用する民営企業のうちから一定の方法により抽出した約7,500企業、約7,200事業所と同事業所に属している労働者のうちから、一定の方法で抽出した約30,800人を対象にした調査です。結果は2022年度のものとなります。
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